繁忙期に引っ越すしかない人へ。営業が教える「動かせる部分」の見つけ方
3月に引越す。日程は動かせない。転勤の辞令が出ている、入学が決まっている、入社日が決まっている——そういう方に向けた記事です。
先に正直なところをお伝えします。「繁忙期でも安くする裏技」のようなものはありません。ただ、まだ手が残っている場合と、本当に打つ手がない場合があります。その線引きをはっきりさせるのが、この記事の目的です。
※ 日程を自由に選べる方は、こちらのほうが役に立ちます。→ 引越しが安い時期はいつ?1年で得する月・避ける月
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① まず、日程が「数日も」動かせないか確認してください
繁忙期のなかに、1か所だけ谷があります。3月上旬(1日〜10日ごろ)です。
| 時期 | 通常期の何倍か |
|---|---|
| 3月上旬 | 1〜1.5倍(ほぼ通常期) |
| 3月中旬 | 2〜4倍 |
| 3月下旬〜4月初週 | 4〜6倍 |
同じ3月でも、上旬と下旬で3〜4倍ちがいます。数日動かせるだけで、これだけ変わるということです。
なぜ月の頭が空くのか。賃貸の退去が月末に集中するからです。契約が月末で切れる方は、そこより前には動けません。結果として、依頼が月末に寄り、月初にぽっかり空きができます。
そして正直に言うと、この谷は引越屋の側も埋めたいんです。空いている枠なので、お客様が来てくれるのはありがたい。だから比較的ぎりぎりでも取れます。最悪、1週間前でも取れることがあります。
ただ、早めに決めていただいたほうがいいのは確かです。ぎりぎりだと荷造りが大変になります。金額の話ではなく、当日ご本人がしんどくなります。
② 動かせないなら、2か月前に押さえてください
「早く予約すると安い」——これはよく言われますが、本当です。
理由は単純で、枠が埋まってくると値段が上がる仕組みだからです。空いているうちは安く出せます。逆に、ぎりぎりでも空いていれば安く出せる可能性はゼロではありません。ただ繁忙期のピークでその賭けはおすすめしません。
「早い」とは2か月前です。全日本トラック協会も繁忙期は1か月前の申し込みを呼びかけていますが、実務の感覚ではもう1か月早いほうが確実です。
それと、あまり知られていない実利がひとつ。早く決めると、ダンボールを早めにもらえます。すぐに必要でなくても、届けてもらう日をこちらで決められます。荷造りの期間をどれだけ長く取れるかは、繁忙期ほど効いてきます。
③ 時間の指定があると、打つ手がほぼなくなります
ここがこの記事でいちばんお伝えしたいところです。
マンションの規約で「搬入は14時以降」と決まっている。エレベーターの使用時間が決められている。そういうケースがあります。この条件が付いた瞬間、繁忙期は選択肢がほとんど消えます。
- 繁忙期は時間の指定枠から先に埋まります
- ピーク期は、車両が入れない・建物側で決められている、といった事情以外は受けない会社が多くなります
- そういう条件が付いている案件は、法人のお引越し以外はお断りする会社が多いのが実情です
そして、金額の面ではこうなります。時間が決まっていると、1社につき1つの金額しか出せません。
日程も時間も動かせない場合、営業の側に調整の余地がありません。「この日なら」「この枠なら」という提案ができないので、出てくるのは1パターンだけです。この状態でできることは、社数を増やすことしかありません。正直に申し上げて、それ以外に手はありません。
🔴 そして最大の注意点です。電話をした時点で、時間の指定があることを必ず伝えてください。後から出てくると、金額が変わるか、そもそも受けられなくなります。見積を取り直すことになり、いちばん大事な時間を失います。
④ 訪問を飛ばして、社数を増やす方法
社数を増やすしかない、と書きました。とはいえ3社に来てもらうと半日仕事です。繁忙期に半日は重い。
訪問を飛ばす方法が2つあります。
- 手元の見積書を、他社にメールで送る。紙に条件と金額が書いてあれば、それを見て金額を出せます
- 受付に見積書の内容を伝えて、聞いてみる。電話1本で済みます
ひとつ正直にお伝えしておくと、荷物量が多い場合は「念のためリモートか訪問で見せてください」と言われる確率が非常に高いです。断られているわけではありません。荷物量が読めないと、責任を持った金額が出せないからです。この方法が効くのは、単身や荷物が少なめのケースだと思ってください。
それと、大事なことをひとつ。他社の金額を伝えるのは、値切るためではありません。条件が揃っていない見積書同士を並べても、高いか安いかは判断できません。同じ条件で並べるために伝える、と考えてください。
⑤ 「やけに安い」見積もりが来たら
繁忙期に1社だけ極端に安いと、ほっとすると同時に少し不安にもなると思います。見るべきところは2つです。
- 車両のサイズが違わないか。他社が3tで見ているところを2tで組んでいれば、その分は安くなります。ただ入りきらなければ当日に困ります
- 特殊な条件が見落とされていないか。時間の指定、トラックから玄関までの距離、搬入経路。ここが計算に入っていないと、あとから変わります
安いこと自体は悪いことではありません。同じ条件で安いのか、条件が抜けていて安いのか——そこだけ確かめてください。
⑥ 「繁忙期はトラブルが多い」は、半分だけ本当です
国民生活センターによると、引越しに関する相談は2024年度で2,345件、4年連続で増えています。そして相談は3月から4月に増える傾向があるとされています。
ただ、ここは冷静に読んだほうがいいところです。増えているのは「件数」です。3月と4月は引越しそのものが集中するので、件数が増えるのは当たり前です。1件あたりのトラブル発生率が上がる、とは公的な資料には書かれていません。
現場の実感としても、繁忙期だから危ない、ということはありません。作業の中身は通常期と変わりません。
強いて言えば、繁忙期に多いのは待ち時間です。前の現場が押す、道が混む、といったことに加えて、お客様ご自身の移動の都合——鍵の受け取りや手続きで新居に着くのが遅れる、というほうが実は多い。トラックが着いても部屋に入れなければ、そこから全部が後ろにずれます。
当日の自分の動きに余裕を持たせておくこと。繁忙期にいちばん効く備えは、たぶんこれです。
まとめ
- 数日でも動かせるなら3月上旬へ。1〜1.5倍で、下旬の4〜6倍とは3〜4倍ちがう
- 谷は引越屋も埋めたい枠。ぎりぎりでも取れることがあるが、荷造りのために早めに
- 動かせないなら2か月前に押さえる。ダンボールも早くもらえる
- 🔴 時間の指定があると1社1パターンしか出ない。手は社数を増やすことだけ
- 🔴 電話の時点で時間指定を必ず伝える
- 訪問は飛ばせる(メール/受付)。ただし荷物が多いとリモート・訪問を求められる
- 安い見積もりは車両サイズと特殊条件を確認
- 繁忙期にトラブルが増えるのは件数の話。確率が上がる根拠はない
日程が動かせないというのは、それだけで不利な条件です。だからこそ、動かせる部分だけを確実に動かす——それがいちばん確実な方法だと思っています。
なお、日程そのものを選べる立場なら、話はまったく変わります。1年を通してどの月・どの週・どの曜日が高いのかは 引越しが安い時期はいつ?1年で得する月・避ける月 にまとめてあります。
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○下げられることが多い
- 近距離の引越し(東京↔神奈川など)
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